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Research Performance

研究実績

多焦点コンタクトレンズによる近視進行抑制多施設共同試験 – 治験・臨床研究

近視学童における多焦点コンタクトレンズの近視進行に与える影響 に関する臨床研究

(前向き治療介入,多施設共同,ランダム化,二重盲検,並行群間比較試験)

【背景と目的】
近視の進行が急激に進むと考えられる学童期において,近視の進行を抑制することができれば,青年期以降の社会活動におけるQOLが維持できるだけでなく,重篤な眼疾患による失明のリスクを軽減できるものと考えられ,学童期における近視進行の予防法の確立は,社会的にも重要な課題とされています.この課題に対しては,従来から,トロピカミド,アトロピンなどによる薬物療法,累進眼鏡などの眼鏡着用,オルソケラトロジーなどのコンタクトレンズ装着あるいは視力回復訓練など様々な方法が試みられており,いまも近視進行予防法の確立に向けて研究が続けられています.

近年,様々なタイプの多焦点ソフトコンタクトレンズ(SCL)において近視進行抑制効果が確認されるようになってきました1-4).Sankaridurgら2)は,レンズ光学部の中心3mm領域が通常の遠方矯正度数で,この周辺に行くにつれ徐々に加入度数が増し,最周辺部へ向かい+2.00Dまで加入されている多焦点SCLを使用して,中国において7~14歳の近視学童を対象とした12ヶ月のトライアルを行い,単焦点眼鏡の対照群よりも近視進行が34%抑制され,眼軸長伸長も33%抑制されたと報告しました.

Anstice & Phillips3)は中心から周辺に向かって,遠→近→遠→近→遠と交互に2つの度数(近見は+2.00D加入)が配置された2重焦点(bifocal)SCLを用いて,10ヶ月毎のクロスオーバー試験を行っており,最初の10ヶ月において,2重焦点SCLを装用した群は,単焦点SCLを装用した対照群よりも近視進行が37%抑制され,眼軸長の伸びは49%も抑制されたことを報告しました.

また,Fujikadoら4)は低加入度の多焦点SCLを用いて,10~16歳の日本人学童34例において近視進行抑制効果を検討し,+0.50 Dの低加入でも47%の眼軸長伸長抑制効果を確認しました.このように明らかに小さい加入度でも同様の近視進行抑制効果が得られていることは大変興味深く,低加入度レンズの方が高次収差の増加を抑えられるため,QOVを損ねないメリットがあります.

これらの報告をもとに,シード社が独自の低加入度(+0.50 D)多焦点SCLを開発し,この近視進行抑制効果を確認しようというのが今回の研究の目的です.京都府立医科大学との共同研究となり,2施設合せて100名のお子様に御協力をお願いする予定となっております.試験期間は2年間になります.

1.AllerTA, WildsoetC.Clin Exp Optom 2008;91:394-9.
2.Sankaridurg P, et al. Invest Ophthalmol Vis Sci 2011;52:9362-7.
3.AnsticeNS, Phillips JR. Ophthalmology 2011;118:1152-61.
4.FujikadoT, et al. Clin Ophthalmol 2014;8:1947-56.

【適応基準】
①小学校1年生から6年生までの男女
②軽度または中等度の近視
 調節麻痺を行った後の屈折検査結果が以下の条件を満たす.
 1)両眼とも等価球面度数が-1.00から-6.00Dの範囲内.
 2)左右眼の等価球面度数の差が1.50D以内.
 3)乱視度数が±1.50D以内.
 4)矯正視力が1.0以上.

【参加者募集期間】
現在患者様の募集は終了しております.