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Research Performance

研究実績

網膜静脈分枝閉塞症の臨床病態観察 – 治験・臨床研究

患者募集 終了

【背景】
網膜静脈分枝閉塞症(branch retinal vein occlusion:以下BRVO)は、網膜動静脈交差部での静脈の閉塞により生じ、中高年の網膜血管障害のなかで糖尿病網膜症についで多い疾患である。本邦における疫学研究では、久山町研究にて1775人の40歳以上住民の断面調査結果より有病率2.1%と報告されている。その病態は、動静脈交差部静脈の血栓形成で、急性期には灌流領域の静脈及び毛細血管灌流圧の上昇、灌流領域の虚血、網膜および黄斑浮腫を生じる。BRVOに対する治療としては、2006年頃より血管内皮増殖因子(vascular endothelial growth factor:以下VEGF)を抑制する抗VEGF薬が登場し、その有効性が多数報告されているが、治療に反応しない黄斑浮腫や、一旦反応しても再燃を繰り返す黄斑浮腫に対して、治療に苦慮することも多い。また抗VEGF薬は黄斑浮腫に対して効果的ではあるものの、非常に高価であり、継続した投与が必要であることから、医療費高騰、患者負担から、最適な投与方法の検討が必要である。

【目的】
BRVOの発症機序は比較的単純であるが、閉塞分枝の位置、閉塞程度、黄斑浮腫の程度などにより予後が多様である。黄斑浮腫を来した症例においても、約4割程度の症例は視力改善を認めると報告されている。今回の研究の目的は、自然経過群及び治療経過良好群と閉塞部位、閉塞程度、黄斑浮腫の範囲との相関を検討することで、予後良好群及び予後不良群となる閉塞パターンを明らかとすることである。それらの予後予測が可能になることにより、治療回数の最適化が可能となり、また予後不良症例に限定した前向き比較試験の実施が可能となる。

【方法】
a. 研究の種類・デザイン
後ろ向き観察研究、侵襲なし、介入なし
b. 試験期間
倫理審査承認日~2020年4月30日
c. 対象
対象疾患名:網膜静脈分枝閉塞症
選択基準:対象は各施設を受診した網膜静脈分枝閉塞症症例のうち、初診時に未治療(内服加療を除く)であり、1年以上経過観察が出来た症例のうち、初診時及び1年後の眼底写真、光干渉断層計検査(optical coherence tomography:以下OCT)の記録、保存されている症例を対象とする。
1. 20歳以上の患者
除外基準:以下のいずれかに該当する患者を対象から除外する。
1. 研究参加に拒否された場合
2. 初診時に網膜静脈分枝閉塞症に対して内服以外の加療が行われていた場合
3. その他、研究責任(分担)医師が被験者として不適当と判断した場合
初診時の網膜静脈閉塞部位、及び、黄斑浮腫の範囲と、一年後の黄斑浮腫の状態、視力変化について後ろ向きに検討する。なお1年目黄斑浮腫、視力から予後判定を行うため、最終治療後から4ヶ月以内の症例、及び、BRVOの黄斑浮腫以外の治療を行った症例は除外とする。評価方法は初診時の眼底写真及び、OCTマップにおいて、中心窩を通る垂直線の左右30度(60度のV字ゾーンと半径1乳頭径の半円で囲まれた扇型の領域)の範囲に病変が占める割合(%)と、1年後の視力の相関を検討する。評価領域設定を変えて、60度、1乳頭径が妥当かどうかについても合わせて検討を行う。

【症例数】
研究全体の症例数:1000症例

【参加施設】
主施設:愛知医科大学 瓶井資弘,坪井孝太郎,松高恵

鹿児島大学坂本泰二、園田祥三、山下敏史、大塚寛樹
筑波大学岡本史樹
東京医科大学 八王子志村雅彦
徳島大学三田村佳典、江川麻里子、香留崇
福井大学高村佳弘
滋賀医科大学大路正人、柿木雅志
奈良県立医科大学緒方奈保子、西智
名古屋市立大学安川力
新潟大学長谷部日
兵庫県立医科大学五味文、石川裕人
札幌市民病院今泉寛子
東京女子医大北野滋彦