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Research Performance

研究実績

糖尿病黄斑浮腫患者に対する治療実態の疫学調査 – 治験・臨床研究

患者募集 終了

【背景】
糖尿病黄斑浮腫とは糖尿病網膜症の合併症として、視力に直接影響する網膜黄斑部が浮腫を起こす病態であり、その原因は高血糖による網膜血管の障害による漿液漏出のみならず、新生血管からの漿液漏出、慢性炎症による漿液漏出、さらには線維性血管増殖膜による黄斑部牽引など多様とされ、それ故様々な病態パターンを示すことが知られている。一方、その治療については①光凝固、②硝子体手術といった外科的治療法、③ステロイド局所投与、④VEGF阻害薬治療といった保存的治療が提唱されているが、決め手となる治療法が確立されているとは言えない。近年、海外を中心としてVEGF阻害薬による単独治療の有効性が報告されているが、高価な薬剤の複数回投与の必要性や、少なくない治療抵抗例の報告、さらには医療経済の観点から、実際の臨床現場では単独治療ではなく、前述の様々な治療の組み合わせによって視機能低下を抑止しているのが現状である。一方、糖尿病黄斑浮腫に対し、どのような治療を何回施行するかについては、網膜専門医が担当するものの各医師の裁量に任されており、我が国における糖尿病黄斑浮腫治療の現状については全くわかっていない。特に我が国では硝子体手術やステロイド局所投与治療の有効性の報告が多く、VEGF阻害薬と光凝固を主流とする国際的な治療との比較対照という疫学調査が求められている。

【目的】
我が国において、実臨床における糖尿病黄斑浮腫に対する治療実態を明らかにし、いわゆる”Real World”における糖尿病黄斑浮腫治療が、果たして視力低下の抑止に有効性を示しているかを、既報におけるVEGF阻害薬の単独治療と比較対照することで、検証する

【方法】
各施設で糖尿病黄斑浮腫と診断され、始めて治療を開始され、少なくとも2年間以上経過を追えた症例を対象にする。すなわち倫理委員会承認日より2年以上前に糖尿病黄斑浮腫と確定診断され、かつ治療が開始された患者が記録対象になる。
目標症例数は1,200例とする。設定根拠は、既報のVEGF単独治療研究では中等度の視力低下(全患者の5割程度)症例が150例ほどであるが、今回は治療項目が外科的治療2項目(光凝固(局所光凝固・格子状凝固)・硝子体手術)、保存的治療3項目(ステロイド硝子体内投与・ステロイドテノン嚢下投与・VEGF阻害薬3種類)であるため、1,200症例以上であれば詳細なサブ解析も可能となる。

(1)選択基準
・糖尿病網膜症に合併する黄斑浮腫で、実臨床において治療を施行された症例
・未治療で診断され、初回治療から2年間以上経過を追えた症例

(2)除外基準
・糖尿病黄斑浮腫以外の眼疾患、および重篤な全身疾患が合併した症例

過去の診療録より、各施設で糖尿病黄斑浮腫と診断され、始めて治療を開始され、少なくとも2年間以上経過を追えた症例を対象にする。すなわち倫理委員会承認日より2年以上前に糖尿病黄斑浮腫と確定診断され、かつ治療が開始された患者が記録対象になる。具体的には2011年4月1日から2015年08月31日までに診療が開始された症例が対象になる。対象患者の年齢、性別、糖尿病履病歴、および採血データ(HbA1c, Cr)を記載し、Ⓐ治療開始日、Ⓑ治療開始から2年にあたる日、Ⓒ記録を行った日の視力、黄斑部網膜厚を記載し、Ⓐ~Ⓑ間およびⒶ~Ⓒ間の治療項目およびその施行回数を記録する。

(3)評価方法及び評価項目
主要評価項目は治療開始2年時までの視力および浮腫の改善度と治療項目別の回数とする。副次評価項目として、治療回数と視力及び浮腫の改善度との相関を計測する。また、治療期間を通じての同様の解析を行う。
I.主要評価項目
・治療開始から2年間の視力改善度および黄斑浮腫改善度
・治療開始時および2年目の視力
・初回治療から2年間の治療項目別の回数

II.副次評価項目
・治療開始から最終診療日までの上記の解析結果

【症例数】
研究全体の症例数:1000症例

【参加施設】
主施設:東京医科大学八王子医療センター 眼科教授 志村雅彦

氏名 所属 職名
坂本泰二 鹿児島大学 教授
北野滋彦 東京女子医科大学糖尿病センター 教授
高村佳弘 福井大学 准教授
岡本史樹 筑波大学 講師
三田村佳典 徳島大学 教授
緒方奈保子 奈良医大 教授
宮田和典 宮田眼科医院 病院長
土居範仁 (公財)慈愛会今村病院 主任部長
竹内大 防衛医科大学 教授
木村和博 山口大学 教授
杉本昌彦 三重大学 講師
五味文 兵庫医科大学 教授
森實祐基 岡山大学 講師
楠原仙太郎 神戸大学 助教
平野隆雄 信州大学 助教
馬詰和比古 東京医科大学 講師
厚東隆志 杏林大学 講師
鷲尾紀章 公立昭和病院 部長
佐々木真理子 立川総合医療センター 部長
前野貴俊 東邦大学佐倉病院 教授
引地泰一 ひきち眼科 院長
木下貴正 札幌市立病院 医長
中澤満 弘前大学 教授
築城英子 長崎大学 助教