Residency Training Programs
研修制度
子育てとの両立① – 先輩の声
大房理恵 入局6年目
私は現在,眼科医6年目で県内の市中病院に勤務中です.眼科医3年目で第一子を出産し,5年目で専門医を取得しました.現在は第二子妊娠中です.
市中病院での研修の特徴としては,外来患者数が多いので日中はかなり忙しく,お昼を食べ損なったりすることもありますが,大体は17時定時に帰宅でき,家族との時間を充分持てています.手術日は遅くなることもありますが,緊急の症例を経験できることが多く,とても勉強になります.だらだらと病院に居続ける必要がなく,働くときは働き,帰るときは帰るというメリハリがあり,育児中の身としては大変ありがたいです.症例にも事欠かず,手術も充分経験できて,専門医取得にも全く問題ありませんでした.
妊娠・出産という新たな経験をすると,ワークライフバランスに悩んだり自分自身の価値観の変化に戸惑ったりしがちですが,眼科の良いところはまず毎日の診療で患者さんが「見えるようになった」と喜ぶ姿を見られることです.視覚という人間の情報の8割を司る感覚器を守ることには非常にやりがいがあり,仕事へのモチベーションを大変維持しやすいです.眼という臓器自体も非常に美しくまた奥深く,飽きる事がありません.手術も自分の成長・上達を実感できる点でとても面白いです.「子育ても仕事も,どちらも頑張りたい」と日々素直に思うことができますし,精神的に充実した毎日を送れています.
思い返してみると,妊娠・出産を挟んでも,チャレンジしたい症例や新しい術式の執刀をためらったり諦めたりする必要がありませんでした.今までの女性医師の先輩方もそうやってスキルアップしてきたし,自分が経験を積んで上を目指すことに気兼ねや遠慮を感じたことがありません.やりたいのに思うようにやれない...こんなはずじゃなかった...という思いを抱くことがありません.もちろん他の先生方や夫,周囲の理解と手助けがあってのことで,とてもありがたいことだと感謝し,精進する毎日です.
育児中の女性医師の働き方については,「子育て中は働く量を減らす」というのも一つの選択肢ですし,配偶者の業務形態によってそうせざるを得ないこともあると思います.その場合にはそういった働き方ももちろん可能です.一方で臨床に研究にバリバリキャリアを積んでいく先生もいます.やる気があればいくらでも挑戦させてもらえます.女性医師だからこうしなくてはならない,という決まりはありません.色々なワークスタイルの先輩方が在籍しています.いずれにせよ,学会や定期的に行われる勉強会に参加することで,第一線の知識・術式にもキャッチアップしていく事が可能です.一生勉強が必要な仕事ですから,大変ありがたい環境だと常々感じています.
子育てを理由に自分の眼科医としての成長を諦めなくていい,医師であることを理由に子供を育てるというもう一つの大仕事を諦めなくていい.筑波大眼科でそういう幸せな眼科医ライフを過ごさせて頂いています.